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エコーとナルキッソス
前回は旧約神話のお話を紹介しましたが、今回はギリシア神話のお話を紹介したいと思います。

かの有名な、ナルキッソスのお話です。

ギリシア神話のナルキッソスという青年が、「ナルシスト」の語源になったというのは有名な話。

元になっているのは、ナルキッソスという美形の青年が、水面に映った自分の姿に恋をして、絶対に手に入らない恋の切なさに衰弱して死んでしまうというお話です。





でも実は、このナルキッソスが、自分を好きになってしまった原因の話はあまり知られていない様子。

今日はそこら辺をちょっと紹介してみようかと思います。


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ギリシア神話の一番偉い神様の名前は、ゼウスと言います。

ゼウスはとっても女たらしで、妻がいるにもかかわらず色んな女に手を出す男でした。

しかも、ゼウスの妻であるヘラはとっても怖い人で、ゼウスの浮気に対する怒りを、当の夫にぶつけるのではなく、浮気相手の女にぶつけていました。

つまり、ゼウスに言い寄られると、ゼウスの妻によって死ぬよりひどい目に合わせられるという、大変理不尽なことが起きるのが定番でした。


さあ、今日もせっせと浮気にいそしむゼウス。
妻は今日も夫と愛人の浮気の現場を押さえようと意気込んでいました。


ところが、そこへ現れたのは、エコーというニンフ(妖精)です。

エコーは、いつもいつも仲間のニンフがゼウスに口説かれた挙句に、妻のヘラに悲惨な嫌がらせをされる、というこの一連の流れを不憫に思い、
得意のおしゃべりでヘラを足止めし、浮気現場を押さえられる前に、ゼウスの愛人にされてしまったニンフを逃がそうと試みたのでした。


エコーのおしゃべりにつかまり、まんまと夫の浮気現場を取り逃がした妻は、この怒りをエコーに向けます。

「あなたはおしゃべりが過ぎるようだわ!!もう少し控えめになさい!!」

というわけで、エコーには『相手の話した言葉の語尾を繰り返すことしかできない』という呪いがかけられることになりました。






それからしばらくして、エコーは恋をしました。

一目ぼれでした。

その相手こそ、ナルキッソスです。

ナルキッソスは、河の神とニンフの間に生まれたとても美しい子どもで、それこそ森のニンフたちや青少年たちが皆して言い寄るほどの、とてつもない美形でした。
しかし彼はまだ、少年とも青年ともつかないような年齢で、まだ恋と言うものを知りませんでした。


ある日エコーは勇気を出してナルキッソスの前に姿を現し、言葉を交わすのですが、エコーにはヘラにかけられた『相手の話した語尾を繰り返すことしかできない』という呪いがかかっていたために、
ナルキッソスに「つまらない」と思われ、相手にされませんでした。

すると、エコーは失恋の悲しみで、徐々に体が干からび、最後には肉体が無くなり、声だけの存在になってしまいました。
時々、山に向かって言葉をかけると、その語尾が返ってくるのは、森の中に隠れているエコーが、言葉を返しているからなのだそうです。(エコー=こだま)


実はナルキッソスは、その美貌ゆえに多くの男女を惹きつけていましたが、まだ恋を知らないゆえに、その全てをエコーと同じように無下に断っていました。

そして、ナルキッソスに失恋したエコーや多くの人々の嫉妬や苦しみに動かされた復讐女神は、彼に呪いをかけました。

『ナルキッソスが恋を知り、恋する相手を自分のものにできないように』



彼はある日、水を飲もうと泉に近づきます。

そこで、見たことも無い美しい青年に出会います。

彼は恋に落ちました。


その相手は、水面に写った自分の姿でした。


手を伸ばして触れようとすれば、水面が乱れ、愛する相手は消えていなくなってしまう。

言葉をかけると、相手も何か言ってくれているようだが、こちらには届かない。



b0168508_22512571.jpg

こちらバロックの頃のカラヴァッジョの描いたナルキッソスです。
切ないね。胸が苦しくなるね。



ただただ、愛する相手を眺めていることしかできないナルキッソスは、その場で衰弱して、ついに死んでしまいました。

彼がいた場所には、水仙の花が咲いていたので、水仙のことをナルシスと呼ぶのだそうです。



b0168508_2251748.jpg

↑はウォーターハウスの描いたエコーとナルキッソス。
明るい画面の中の、ナルキッソスのはいつくばりっぷりに生々しさを感じます。




ところで、ナルキッソスはこんな酷い目に合うような悪いことしただろうか?
彼はただ、自分の容姿に惹きつけられて寄ってきた人たちの一方的な愛を断ってきただけです。

話の中に、彼をかばってくれるような友人の存在はありません。
ナルキッソスはいつでも孤独です。





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by kawamotomayu | 2012-02-13 22:51 | 先生
たまにはこんな話
お久しぶりです。

いつもは猫狂いな私ですが、たまには違う話でもしてみようかと思います。


実は私は美術の先生をやっております。

なので、学校では西洋美術史なんかも教えたりします。

西洋美術史というとやっぱり、聖書のお話がたくさん出てきます。

聖書の中の有名なお話はたくさんあるのだけれど、私の好きな話の一つはヨブさんのお話。

旧約聖書の「ヨブ記」というやつです。

ただし、私は宗教には大変に疎いので、聖書といえども完全におもしろい物語として読んでいることを初めに断っておきます。



旧約聖書の「ヨブ記」がどんなお話かというと、こんなお話です。

―――――――――――――

ある日神様が、「幸せにしてやってるから信じてもらえてるだけだろ」って悪魔にそそのかされて、自分を信じていた男を不幸にします。

不幸になった男は、神様を信じ続けます。

財産を失っても、家族を失っても、神様を信じます。

酷い皮膚病になっても、神様を信じています。

そんな男を見て妻は、「そんなになっても神を信じるの?神を呪って死ねよ!」と罵倒するんです。


それがこの絵の場面。
b0168508_1138298.jpg

これはバロックの頃の、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールという人の描いたヨブさんです。(奥さんめちゃ怖い。震え上がります。)



それでも男は、「我々は神様から幸せももらうんだから、不幸せなことももらうべきなんだよ」って妻を諭すんです。


でもその後友達が訪ねてきて、今度は男の信仰心が疑われるんです。

「そんな不幸な目に合うってことは、何か悪いことしたんじゃないの?」

ってな具合。


それで男の信仰心が揺らぐんです。

生まれてくるんじゃなかった!なんて言っちゃうんです。




宗教心を持っている人に言わせると、このお話は、
神を否定されることよりも自分の信仰心を否定されることの方が信仰心が揺らがされるという教訓である
という解釈ができるそうなのだけれど、

初めに書いた通り、私にはこれといって持っている宗教がありません。


ただ物語として読んで、ふと思い出したのは太宰治の「走れメロス」。


「走るのだ。信じられているから走るのだ。
 間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。
 人の命も問題ではないのだ。
 私は、なんだか、もっと恐ろしく
 大きいもののために走っているのだ」




不幸なんて信じるものがあったら平気です。

ヨブさんは、自分が辛い目に合っているのが辛いのではなくて、神様が自分を信じてくれていると思っていたのに、もしかしたらそうではなかったのかもしれない、と思ってしまったのだと思うのです。

信じてもらえてないって気づいてしまった時の恐ろしさ。





この後、神様はあわてて男のところへ来て、一生懸命男を慰めるんです。


何がしたいんだー!って突っ込みたくなるんだけど、人間っぽくて微笑ましい。



いいなあ、ヨブさんは神様がフォローにきてくれて。


しかし我々の元には神様がフォローしに来てくれるとは限らないので、せめてこの話を教訓にして、

誰に信じてもらえない時でも自分の信じるものを保って強く生きていこうではないですか。




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by kawamotomayu | 2012-02-05 11:57 | 先生



毎日の生活の中のいろいろ。
by kawamotomayu
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みりん
MIX♀キジ白
2009年4月末生まれ(推定)

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拾った時にひいていた猫風邪の後遺症で目に結膜が癒着したままになってしまい、目があまりはっきりは見えないので、やや臆病ですが、自分がリーダーという自覚があるのか、妹ふたりを守るためなら掃除機にも攻撃します。


みんと
MIX♀キジ白ソックス白エプロン
2009年6月生まれ(推定)

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みりんに何をされても絶対に逆らわず、気使いで、体育会系の香りがする子です。
クールを装っていますが、実は寂しがりで甘えん坊。
我が家の猫の中では一番表情が豊か。普段はいつも困り顔ですが、ぽんずが人間にかまわれていると非難がましい顔をします。



ぽんず
MIX♀茶とら
2009年9月12日生まれ

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3猫の中で唯一野良猫(捨て猫)出身でなく、生後2カ月まで実母の母乳で育った幸せ者。運動神経抜群で、よく食べよく鳴きよく遊びます。わがままで、気に食わないことがあると子どもが文句を言う時のような不満げな声で喚きちらします。

ikakeyamamayu
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